DC-390U2W / Tekram


インターフェイス:Ultra 2 Wide SCSI (68pin LVD 80MB/s) / Ultra Wide SCSI (68pin SE 40MB/s) / Ultra SCSI (50pin SE 20MB/s)

転送モード:Bus Master

Bus:PCI Rev.2.1 (32bit 33MHz 5V)

SCSIコントローラ:SYM53C895 / LSI Logic + SYM53C141 / LSI Logic

対応機種:PC/AT互換機

動作確認マザーボード:S2885ANRF-T Thunder K8WSUPER PIIIDME


 DC-390U2Bの姉妹機種として登場したUltra 2 Wide SCSIカード。

 このカードの特徴はSE/LVD SCSIバスブリッジたるSYM53C141が搭載されている事で、これにより1chのSCSIバス上でSE/LVD機器を混在させてもLVD機器のパフォーマンスを低下させずに済む様になっている。

 これは一言で言ってしまえばAdaptecのAHA-2940U2Wに対抗する製品で、例によってTEKRAMオリジナルのBIOSが搭載されている事もあってか比較的廉価で販売されていた。

 BIOSの件はともかくそれ以外は正攻法で設計されたカードであってその動作も安定していたが、それは裏返せば取り立てて特徴のないカードであるという事でもあり、ATA/ATAPIの急激な進歩でSCSIの存在感が薄れつつある時期に登場した事もあって、何と言うか存在感の薄いカードであった。

 なお、このカードに搭載されたSYM53C141は世間一般での知名度は低いが、実はSpeedFlexという名称でその技術を喧伝したライバルAdaptecの同種チップであるAIC-3860Qと比べて完成度が明らかに高く、これ単体でSCSIバスをLVD/SEで分離する為のアダプタ(IOI-141シリーズ)に搭載可能な程の汎用性(注1)を備えている。

 AIC-3860Qの場合は搭載に当たって別途基板上への専用CPLDの追加とBIOSの変更を要していた(注2)事を考えると、LSI Logicからチップを買ってSCSIカードを製造するメーカーにとって、これは圧倒的と言って良いアドバンテージ(注3)であった。

 このカードについては、例によってTekram自社製BIOSについてその挙動で多少不満があったが、それに対する依存度が低いWindows 2000/XP等で動作させる限りは特に不満を覚える事も無かった。

 もっとも、逆にそうであったが故に印象に残らなかったのも確かであるが・・・。

 今となってはHDDを接続して使用するには少々役者不足だが、例えばLVD接続のDDS3ドライブとSE接続のCD-R/RWドライブを同時に利用したい、といったニーズであれば問題のBIOSを殺して使用する事が可能なので、もしその様な使途が存在していて、しかも廉価に入手可能な場合(注4)には、導入を検討するに値するカードである。


 (注1):その汎用性がどれ程高かったかは、組み合わせるSCSIコントローラを選ばない事でも明らかであろう。特殊な例とは言え、InitioのINIC-1060Pと組み合わせて搭載した製品(Chanpon3-PCI)まで存在しているのである。

 (注2):例えばAHA-2940UWAHA-2940UW Proや、AHA-2940U2WとAHA-2940U2Bを比較すればこの事は明らかである。Adaptecが現行のASC-29320A-Rまで何ら改良せずに延々と同じチップを搭載し続ける程AIC-3860Qに固執し続ける理由は定かではないが、果たして不用意にBIOSの種類を増やすという愚策を敢えて犯す程のメリットがこのチップにあるのか、正直筆者には疑問である。

 (注3):SCSI BIOSを1種類で済ませられるというのは、サポートやメンテナンスを考えると非常に重要な事である。

 (注4):もっとも、高価だったAHA-2940U2Wでさえ2千円台で中古販売されている昨今の情勢では、わざわざこの製品を選択するというのはかなり限定された状況であるとは思われるが・・・。


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