WIDE ULTRA SCSI CARD 2940UW PRO (AHA-2940UW PRO) / Adaptec
インターフェイス:Ultra Wide SCSI (68pin SE 40MB/s) / Ultra SCSI (50pin SE 20MB/s)
転送モード:Bus Master
Bus:PCI Rev.2.1 (32bit 33MHz 3.3/5V)
SCSIコントローラ:AIC-7880P / Adaptec + AIC-3860Q / Adaptec
対応機種:PC/AT互換機
動作確認マザーボード:S2466N-4M
AHA-2940UWをベースに、Adaptecの独自技術であるSpeed FlexによるSCSIバス拡張機能を応用してカード上の3つのSCSIコネクタ全てに同時にケーブルや機器を接続可能としたカード。
具体的には内部68ピンコネクタ←→AIC-7880Pコントローラ←→外部68ピンコネクタという1本のUltra Wide SCSIバスの途中にAIC-3860Q Speed Flex SCSIバスブリッジコントローラを接続してそこから内部50ピンコネクタまでUltra SCSIバスが引き出されているという構成(基板配線と内蔵アクティブターミネータの構成からの推論)で、68ピンのUltra Wide SCSIバスのケーブル総延長とは別に50ピンUltra SCSIバスのケーブル総延長を加算可能である(具体的には68ピン系がUltra Wide SCSI接続機器4デバイスで3m+50ピン系が低速なSCSIー1接続対応機器のみで6mといった具合に、それぞれ完全に独立したバスであるかの様にSCSIケーブルの有効長制限を分離して計算出来る)為、このカードでは一つのSCSIバスの下で長大なケーブル有効長を確保出来るというメリットがある。
これを可能にしているSpeed Flex SCSIバスブリッジコントローラは、本来AHA-2940U2Wの開発時に、電気的に混在出来ないUltra 2 Wide SCSI以上のLVD(Low Voltage Differencial:低電圧差動)デバイスとUltra Wide SCSI以下のSE(Single Ended)デバイスを1つのSCSIバスで両立させる為に開発されたもので、2つの電気的に独立したSCSIバス間をバスプロトコル変換しつつ中継する機能(AHA-2940U2WではUltra 2 Wide SCSIバスの上にUltra Wide / Ultra SCSIバスを接ぎ木するのに用いられた)を備えている。
つまり、このカードの場合はそれを電気的に同じUltra Wide SCSIバスにUltra SCSIバスをブリッジするのに応用しているという事で、ケーブル有効長の延伸もさることながら、ベースとなったAHA-2940UWが一筆書きを原則とするSCSIバスの電気的制約故にカード上に実装された3コネクタの同時利用が出来なかった事に対する苦情がそれなりにあった事への解答という意味合いもあった様だ。
ちなみにSCSIコントローラであるAIC-7880PがSpeed Flex技術の適用などハナから考慮されていなかった為か、信号処理上の矛盾を辻褄合わせする事を目的とした特殊な調停チップ(ispLSI 2032 / Lattice)がAIC-7880Pの脇に実装されており、しかもBIOSやドライバも微妙にオリジナルのAHA-2940UWとは異なっている事から、この技術は決して安易に適用出来る様な性質のものでは無かった様だ。
なお、この機種はPC-9800シリーズ非対応となったAHA-2940U2Wの後で発売されており、残念ながら98には対応していない。
カード自体の性能はオリジナルのAHA-2940UWと殆ど変わりない素直なもので、強いて言えば内部50ピンコネクタに接続された機器の性能がごく僅かずつ低下する(ブリッジを介しているのでこれだけは致し方ない。但し、体感上これを認識する機会はほぼ皆無であろう)様だが、その程度の差でしかない事は強調しておきたい。
なお、このカードのカードエッジコネクタは5 / 3.3V両対応仕様になっているので、5V PCIスロットの少ない最近の一部マザーボードでは思わぬ利用価値があるかも知れない。
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