SIDE-2935LVD / Iwill
インターフェイス:Ultra 2 Wide SCSI (68pin LVD 80MB/s) 転送モード:Bus Master Bus:PCI Rev.2.1 (32bit 33MHz 3.3/5V) SCSIコントローラ:INIC-1060P / Initio 対応機種:PC/AT互換機 動作確認マシン/マザーボード:S2466N-4M Tiger MPX,FW-6400GXR/150/WS,PC-9821RvII26/N20
Initioが開発したPCI対応Ultra 2 Wide SCSIカードであるINI-A100U2Wの同等品の一つ。
チップの製造週表記から98年後半か99年初頭の製造と推測できる。
これはIOI-A100U2WやREX-PCI34と基本設計は共通だが基板のアートワークや実装部品等の具体的な設計ではそれらの同等機種と異なっており、各社の個性あるいは設計方針が図らずも表面化している。
中でもこのSIDE-2935LVDの設計は傾向としてはIOI-A100U2Wに近く、これら2機種のアートワークの類似性が高い事(特に、LED未実装とはいえSE・LVD・TERMの3つのLEDの為のパターンがIOI-A100U2Wと同じ場所に用意されているのは注目に値しよう)から考えて、恐らくこれらはInitioから提供されたオリジナルのINI-A100U2Wにかなり忠実に、けれども実装部品等のグレードや形状は両社で自由に選ぶような形で設計製造されているものと考えられる。
もっとも、SCSIカード専業に近い為、ブランドイメージの点で下手に手を抜けなかったIOI-Technologyがレジストを赤にして見栄えを重視しつつ表面実装タイプのチップコンデンサを多用するなどしてコストダウンを図っている(その割に内部の68ピンSCSIコネクタに外部と同じタイプの金属製のものを実装してあったりするのが解せない)のに対し、PC/AT互換機のマザーボード、それもSCSIコントローラオンボードの高級品で定評のあったIwillが手がけただけあって、こちらの方はマザーボード上のオンボードSCSIコントローラの周辺を見る様な手慣れた処理が目につき、この製品が本来同社製マザーボードのオプションとして提供されていた事がよく分かる仕上がりである。
ちなみに、SCSIバスラインの整合の為の信号線長を調整する為に設けられた配線の蛇行パターンの処理では流石にIwillの方が手慣れており、FLASHメモリがソケット上に挿してある事も含め、マザーボードから切り出した様な造作が目につく。
余談だが、このカードとIOI-A100U2WはSCSIバスの基準クロックとして44.9000MHzのクリスタルを実装しているのだが、本来SCSIカードの基準クロックは20MHzや40MHzといったSCSIバスの動作クロックを分周で生成するのが容易な周波数のものを実装するのがセオリーで、これら2機種は性能を稼ぐ為に意図的にSCSIバスをオーバークロック動作させている可能性(実際、件のIOI-A100U2Wは正直に40MHzのクリスタルを実装するChanpon3-PCIやREX-PCI34を上回る成績をマークしていた)がある。
また、オーバークロックの弊害を考えると、あるいはIBMのHDDとの互換性問題や、コントローラの突然死問題も、ここに原因があった可能性があるのではなかろうか。
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