REX-PCI34 / RATOC Systems


インターフェイス:Ultra 2 Wide SCSI (68pin LVD 80MB/s)

転送モード:Bus Master

Bus:PCI Rev.2.1 (32bit 33MHz 3.3/5V)

SCSIコントローラ:INIC-1060P / Initio

対応機種:PC/AT互換機

動作確認マシン/マザーボード:S2466N-4M Tiger MPXFW-6400GXR/150/WSPC-9821RvII26/N20


 Initioが開発したPCI対応Ultra 2 Wide SCSIカードであるINI-A100U2Wの同等品の一つ。

 但し、基板レイアウトは純正のINI-A100U2WやIOI-A100U2Wのそれとは異なるRatocのオリジナル設計(製造も国内である)で、基板面積ではより大きく余裕のある筈のIOI-A100U2Wでは巧く処理しきれず等長化の為にかなり蛇行しているSCSIバスの信号線がごくごく自然に無駄なくレイアウトされており、アートワークレベルでの技術力の差を見せ付けている。

 もっとも、このカードはSE/LVDバス分離機構、つまりAdaptec流に言うところのSpeedFlex技術が導入されていない為、SE/LVD機器の同一バス上での分離は出来ず、それ故LVD機器とSE機器の混在時は全ての機器がSE動作となってしまうという点はこの時期のU2W SCSI対応カード各種(AHA-2940U2Wを除く)と同様で、SE機器とLVD機器を同じPCでフルパフォーマンスで利用したい場合にはSE機器用にUW SCSIカード等を別途用意する必要がある事から、この辺のU2W SCSIカードは主として既にオンボードでSE SCSIコントローラが搭載されている機種(例えばベージュ時代のPCIスロット搭載Power Macintosh。実際、このカードにもMac用Open Firmwareを書かれたモデルが存在していてこちらの方が遅くまで販売され続けていた)を中心に細々と普及する事となった。

 それ故かこのカードのPC/AT互換機対応版は早期に生産完了となっており、Mac版も含め市場で見かける事は稀となっているのだが、実はこれには裏があって、PC-9821対応BIOSが用意されていたIOI-A100U2Wと殆ど同一仕様の製品という事で件の98対応BIOSを書き込めば動いてしまう(しかもINIC-1060Pは98のDOS用ASPIドライバが用意されないなど不利な要素は多々あったがライバルであるLSI Logic製53C895を搭載するSC-U2PCIやSC-U2PSよりも高速であった)事からIOI-A100U2Wを買い損ねた98ユーザーに狙われた為らしく、実際Chanpon3-PCI出現までは一部のMac専門店を別にすれば市場で見かける事の稀なカードとなっていた。

 なお、このカードに搭載されているINIC-1060Pはある時期のIBM(現日立データストレージ)製HDDと極端に相性が悪く、更にWinDVD等のDVD再生ソフトウェアとも相性が良くない事を申し添えておこう。


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