S2460 Tiger MP / TYAN


CPU Type:Socket A (PGA462) *2

Chip Set:AMD-762(IDG4-2P) + AMD-766 (Viper) / AMD

FSB Clock:200,266MHz

RAM Module Type:184pin 2.5V PC1600・PC2100 ECC Registered DDR-SDRAM DIMM *4

Ext.Slot:x4 AGP *1, 64bit 33MHz PCI *4, 32bit 33MHz PCI *2

Power Supply Type:ATX

Board Form:ATX

BIOS: Phoenix Server BIOS 2 Release 6.0


 2001年12月9日に意を決して購入した、筆者にとって初のEV6バスプロトコル対応マザーボード。

 見ての通りAMD-762+AMD-766によるAMD-760MPチップセット搭載のDual Socket Aマザーボードで、64bit 33MHz PCIスロットを4本搭載している以外は特に取り立てて目立った特徴の無い製品である。

 これは、AMD-760MP搭載マザーボードとしては記念すべき世界初の製品として2001年夏に出荷開始されたS2462 Thunder K7の簡略化版で、同製品に搭載されていたオンボードデバイス各種(2ch Ultra 160 SCSI・2ch 100Base-TX LAN・VGAコントローラ)が省略され、PCIスロットの構成が変更(64bit 33MHz PCI 5本 → 64bit 33MHz PCI 4本+32bit 33MHz PCI 2本)されているが、引き替えにボードサイズの縮小(拡張ATX → ATX)と電源の汎用化(注1)による実用性の大幅な向上を実現している。

 実はこの製品、購入前にネット上で収集した情報によればメモリを中心に色々相性が厳しいとの事であったのだが、いざ購入して指定された条件のCPU・メモリ・電源を揃えて組んでみると拍子抜けする程ノントラブルで組み上がってしまった。

 AMD-760MPチップセットがAMD初のSMP対応チップセットである事を考えると、この安定度は上出来の部類に入ると言っても良いだろう。

 後続のAMD-760MPXチップセットと異なり、32bit 33MHz PCI接続のAMD-766サウスブリッジの関係でAMD-762が持つ64bit 66MHz駆動のPCIバスブリッジが33MHz動作を強いられるという欠点があるのは確かだが、件の760MPXでは逆に32bit 33MHz PCIがAMD-768サウスブリッジをホストとするセカンダリPCIという事になって(64bit 33MHz PCIバスは出せない)762直下のプライマリPCIバス接続に比べてほぼ確実に性能低下するし、64bit PCIでも66MHz駆動のカードと33MHz駆動のカードを混載すると結局33MHz駆動になってしまう(注2)という問題もあるので、これは必ずしも悪いとは言えないだろう。

 この辺については450GX/NXや840/860といったIntel製サーバ/ワークステーション用チップセットが良く出来ていて、プライマリで2ch以上のPCIバスコントローラを持たせて66MHzバスと33MHzバスを共存させつつ双方の性能低下を防いでいる(注3)事を思うと不満が残るが、只でさえCPUがPoint to Point接続である為にピン数が法外に多いAMD-762でこれ以上ピン数を増やす訳には行かないから、この辺は致し方あるまい。

 あるいHyper Transportの登場がもう少し早ければこの辺の問題は解決が付いたかも知れないが、開発開始時点の状況ではそこまで踏み込めなかったであろうから、やはりこれは現在の設計以外に選択肢は無かったという事なのであろう。

 ちなみにこの製品はボード上のリビジョン表記を見ると“B”で、A”の製品が市場で混在していた事を考えると、もしかしたらこの辺の相違も安定度の差に関係しているのかも知れない。

 このボードはレイアウトの関係上CPUソケットの周囲に背の高いケミコンが林立しているが、結構大型のクーラーを装着しても干渉しない様になっており、この手のものとしてはかなり大柄な昭和アルミ(現・昭和電工)のS・Dスカイブ(SNP8060)でも特に問題なく(注4)装着出来ている。

 なお、TYANのサイトで公開されているCPU対応表を確認すると同じノースブリッジ(AMD-762)を搭載するマザーボードでも専用電源(ATX-GES)対応のThunder K7・K7XやATX 12V対応のTiger MPXでは2000+以上のAthlon MPへの対応が図られているのに対し、このボードに限ってはAthlon MP1900+までの対応とされている。

 これはこのボードが汎用のATX電源にのみ対応する為に許容される電流量がかなり厳しく制限される事による物らしく、特に電力消費量の大きなParominoコアのAthlon MPでは1900+クラスが限界(注5)である様で、そればかりか筆者の知人は接続していた電源の5V出力の電流量上限に問題があったのかMP1600+デュアルで1年ばかり連続稼働していてこのボードの電源回りで焼損事故を引き起こしているから、このボードでのParominoコアの高クロック版Athlon MP/XPの利用にあたっては電源出力の各電圧ごとの許容電流量には特に注意を要しよう。

 ちなみに、筆者はAbelcomのSP-401RA(ATX12V対応前の旧モデル)で使用していて問題が出た事は無かったが、+5Vで50Aの出力が得られるこの機種でも製造時期によっては問題が出るケースがある様だ。


 (注1):S2462ではATX-GESというこのボードの為だけに新規開発された(!)規格に対応する専用電源が必須であったが、こちらは+5Vが30A以上という条件は付くがATX 2.01以上の規格の電源で動作する。

 (注2):それを避けるには64bit 33MHz駆動のカードを32bit 33MHz PCIスロットに挿す事になるが、そうするとそのカードは性能が発揮出来なくなる。

 (注3):もっとも、840については筆者の使った範囲では32bit 33MHz PCIの性能が不十分な感がある。

 (注4):取り付け金具の固定にはコンデンサが多少邪魔で、またCPU 1の方は本当に微妙に干渉する様だが。

 (注5):ThoroughbredコアやBartonコアならばもう少し上のグレードのCPUでも問題なく動作しそうだが、高クロック版でもParominoコアが多いAthlon MPの実状を考慮すると対応表でサポート対象として公示するには問題が多い。なお、ThoroughbredコアのAthlon XP 2400+をシングルで搭載して動作する事は、一応確認している。


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