ViBRA 8000 (CT3931) / Creative


接続バス:ISA Bus (16bit 8MHz)

サウンドコントローラ:YMF262-H / YAMAHA + CT2501-TDQ + CT-1971-Q(EMU8000) + CT1972(EMU8011-01) / Creative

対応機種:PC/AT互換機

動作確認マザーボード:S1668 Titan Pro ATX


 1995年に発表された、Creative純正の非PnPタイプとしては恐らく最後のISA版サウンドカード。

 バルク/OEM専用版故にViBRAの名が冠されてはいるが、その実体はSound BLASTERシリーズの1つの完成形であるSound BLASTER(ViBRA)16に、Wave BLASTER相当のWave Table音源(Emu8000チップを中核とし、このカードの30ピンSIMMソケットは追加のWave Tableデータを格納するための増設メモリ用として実装されている)を付加した、つまりSound BLASTER 32系と基本的に同じアーキテクチャのカードで、このカードの場合はCD-ROMドライブ用IDEインターフェイス機能が省略(基本となるCT3930では搭載されているらしく、基板上にはその為の配線パターンが用意されている)されている他、Sound BLASTER 16/32系では珍しく、アンプ内蔵のスピーカー端子だけではなくアンプ回路を経由しないラインアウト端子が別途搭載されていて、更にはハードウェアシンセ部専用とは言え当時のサウンドカードには稀な、SPDIF出力端子(ピンヘッダのみ)まで用意されていた。

 FM音源部はヤマハのOPL、PCMサウンドコントローラは自社製のViBRA 16(CT2501)、そしてMIDIシンセは前述の通りEmu8000というチップ構成で、今となってはもはやどうということのない凡庸な設計なのだが、何しろリソース設定一切をジャンパに依存する(つまりリソースを決め打ち出来る)非PnP版で、リソースを無駄遣いするだけの遅いIDEインターフェイスを持たず、更にはラインアウトも持っているので、実はDOSゲーマーには意外と需要のある仕様のカードではある。

 また、このカードを含むSound BLASTER 16/32系は驚いたことにWindows 2000でもInBoxドライバとしてDirect Soundに対応(!)するMS謹製のWDMドライバ(!!)が用意されており、ROM音色だけという制限はあるがSB32系のハードウェアMIDIシンセもサポートされている。

 音質的にはこの当時のカードとしては及第点といったところであるが、それでも同系のFM/PCMサウンドチップを搭載するPCI-AS2940UWあたりと比べると格段に音は良く、ラインアウトを独立装備していたことにもそれなりの価値があった。

 今となっては本当に今更、といった仕様/性能のカードなのだが、リソース決め打ちのDOSゲームやメガデモの動作にはこのタイプでないと駄目な場合があるので、いざそういう目的のマシンを組もうと思うと意外と見当たらず(SB32系にしろ、16系にしろ、PnPモデルはそれこそ掃いて捨てる程転がっているが、非PnPとなると途端に出物が激減する。ただし、Pentium 100MHz前後の頃のFMVやFMV-TOWNSにはこの系統の非PnP対応SB32系カードが入っている機種が多いので、どうしても必要な場合はこの辺りを探してみるのも手である)、入手に苦労を強いられるので侮れない。

 また、本当に長い間SB16/32系が業界標準の座に君臨し続けたおかげでこのカードが動作するOSは非常に多い(より正しく言うとAdLib互換であったこともあってPC/AT互換機用OSでこの系列をサポートしていない/動作しないものを探すのは非常に困難で、筆者の知る限りは古いCP/M-86位のものである)ので、空きのISAスロットがあるマシンなら、リソースの競合には気を付ける必要があるがこのカードを挿しておくのも悪くはないだろう。

 無論、今となっては音質・機能の両面で最早どうにもならないような代物ではあるのだが・・・。


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