PCI-AS2940UW / ASUSTek


インターフェイス:Ultra Wide SCSI (68pin SE 40MB/s) / Ultra SCSI (50pin SE 20MB/s)

転送モード:Bus Master

Bus:ASUS Media Bus 2.0 (PCI Rev.2.1 (32bit 33MHz 5V) + ISA Extention)

SCSIコントローラ:AIC-7880P / Adaptec

サウンドコントローラ:CT2504-TCQ (VIBRA16S) / Creative Technology + YMF-262-M (OPL-3) / YAMAHA

対応機種:PC/AT互換機

動作確認マザーボード:P/I-XP55T2P4S1837UANG Thunderbolt


 一時期のASUSTek製PC/AT互換機用マザーボードに付いていた、同社独自規格のメディアバス2.0スロットに適合する、Ultra Wide SCSI/サウンド複合カード。

 SCSI部分はAdaptecのAHA-2940UWの、そしてサウンド部分はCreativeのOEM供給用ISAサウンドカードであるVIBRA16の相当品(但し基板レイアウトの物理的制約等で、実装コネクタには幾らかの省略がある)となっており、Media Busではない只の32bit 33MHz PCIスロット(64Bit 33MHz PCIスロットにはISA部分が干渉するので挿せない)に挿した場合には、文字通りAHA-2940UW相当品(但し、BIOSはマザーボードオンボード搭載のAIC-7880用と同一)として動作する。

 但し、SCSI BIOSが古いDIPパッケージのROMチップに格納されている為、(ROMライタでも持っていない限り)BIOSのバージョンを現在の1.2から最新のものへ更新する事が出来ないという制約が存在する。

 このメディアバスは、PCIスロットの延長線上に同ピッチの72ピンカードエッジコネクタを追加して、ISAバスの信号線を引き込んだ(無論それではピン数が不足するが、電源系はPCI側から供給される構造になっているので、少なくともサウンドカードに必要な程度の線は引き込まれている)構造のバスで、原則としてPCI/ISA共用スロットに配されていた事から推測するに、当時の一般的なスロット構成でPCI 4 + ISA 4 = 8デバイス分の拡張性を確保するのが主眼にあった(メディアバスの名が示す通り、拡張搭載されるISAデバイスは、当時業界標準の座にあったSound BLASTER 16系のサウンドコントローラであったから、残りの3本のISAスロットには、それこそGUSなどを挿さない限りはサウンドカードに割り当てなくて済んだ訳である)と考えられるが、同時にこうした独自拡張バス向けであればマザーボードオンボード向けと同じ扱いという事で、リテールだと法外に高価だった、業界標準のAdaptec製SCSIコントローラがかなり安価に提供出来る(何故か同社のマザーボードメーカーへのオンボード向けOEM供給時のSCSIチップ価格はリテール版カードからは考えられない位安くなる)というメリットもあった。

 事実、この製品はAdaptecがリテール販売していたAHA-2940UWが4万以上していた時期に、3万以下の売価で販売されており、VIBRA16サウンドカードの価格と合わせて考えると、使い回しの自由度が下がる事さえ無視できるならば(つまり、Media Bus 2.0搭載のASUSTek製マザーボードを買い/使い続ける限りにおいては)、スロットが節約出来て非常にお買い得な製品であった。

 正直なところを言えば、このカードのSCSI部分については、BIOSのバージョンが古いとは言え何しろAHA-2940UWとほぼ共通仕様(但し外部Ultra Wide SCSIコネクタは省略されている)なので、機能的な意味ではAHA-2940UWに対する以上の評価は出てこない(苦笑)。

 このカードで問題があるとすれば、それは本来“売り”であった筈のサウンドの方で、幾ら当時の業界標準とは言え、只でさえ音の悪いSound BLASTER 16の廉価版であるVIBRA 16が、それも外部入出力コネクタとサウンドチップの間に(幾らアナログ音声信号線をGNDラインでブロックし、しかも電気的にある程度アイソレートしてあるとは言え)強烈なノイズ源であるSCSIコントローラを間に抱え込むレイアウトで実装されているのだから、マトモな音が出てくる事を期待する方が間違えているというものだろう。

 ただ、このカードにはWave BLASTER/Wave BLASTER II用のピンコネクタが搭載されていて、Sound BLASTER 16/VIBRA 16と同じ程度の機能拡張性は与えられているから、その点は評価できる。

 何より、(原型となったSound BLASTER 16/VIBRA 16がそうであった様に)Line OutではなくSpeaker Outしか外部出力を持たず、しかもそのSpeaker Out自体が安物の可変抵抗をライン上に取り付けただけの“ボリューム”や、とても音質を期待出来そうにない“アンプ”回路を経由して出されたものであると来てはもう、音質とかいった文化的な言葉は諦める他無い。

 まぁ、それでもノイズは思ったよりはひどくないし、一昔前のラジカセ程度の音は出てはいるのだが(苦笑)。

 建前上Media Bus 2.0専用という事になっているが、物理的に干渉しさえしないならば(例えば64bit PCIスロットはカードエッジが干渉するし仮に挿せても電気的に危険なので不可だし、Adaptecが昔やっていたRAIDポートのあるスロットも同じ理由で挿せない)上記の通り普通の32bit 33MHz PCIバススロットで(SCSI BIOSの古い)AHA-2940UW相当として動作させる事が可能なので、“キワモノ以外何物にも見えない”怪しげ且つ安っぽい外観の割に(笑)、実はかなり“使える”SCSIカードである。


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