PC-9801-100 / NEC
インターフェイス:SCSI-2 (50pin SE 10MB/s)
転送モード:DMA/FIFO
Bus:C Bus (16bit)
コントローラ:AIC-6360Q + AIC-3340Q / Adaptec
対応機種:PC-9800シリーズ
動作確認マシン:PC-9821As2/U8W
NEC純正としては最後のCバス対応SCSIボード。
但し、純正と言ってもボードそのものはAdaptecのOEM供給品で、基板上にはAHA-1030Pという同社製品としての型番が記載されている。
ちなみにAdaptec自身が最初にリテール販売したCバス対応SCSIボードはAHA-1030Bという型番で、そちらではWindows 98以降公式には未サポートであるなど、仕様が微妙に異なっている(後日ReadySCSI98としてAHA-1030Pも発売している)。
時期的には1995年のWindows 95登場前の製品で、Pentium搭載Mate X + MS-DOS 6.2 + Windows 3.1でPlug and Play機能が実装された事に歩調を合わせての登場であった。
つまり、このボードはCバス対応では初のPnP対応SCSIボードであり、Adaptecの提唱するASPIを当初より実装してデビューした点でもこれ以前のSCSIボードとは一線を画する仕様を備えていた。
一言で言えば、これはAdaptecのISA対応SCSIカードであるAHA-15xx系カードのPC-98対応版で、GNDパターンをメッシュ状にした基板のアートワークや、SCSIコネクタのアンフェノールタイプからピンフォークタイプへの変更、単純な集合抵抗からDALLAS製チップを搭載したアクティブターミネータに変更された基板上のSCSIバスターミネータなど、PC/AT互換機の文化を色濃く伝える設計になっているのが目を引く。
ちなみに、非PnPマシンにも一応対応しており、その場合のリソース設定用5連DIPスイッチも実装されている。
ASPIが全面的に導入された結果、このボードにおけるPC-9801-55互換BIOSの役割は大幅に減少しているが、それでも設計段階ではこの機能がかなり重視されていた様で互換性はかなりのレベルに到達しており、その動作も安定している。
このボードはNEC純正Cバス対応SCSIボードの原則通りDMA/FIFO転送のみをサポートしており、バスマスタ転送はサポートしていない。
従って、転送性能には色々不満が残る出来なのだが、同時期にAdaptecが大幅に高速なPCIバスマスタSCSIカードであるAHA-2940をNEC純正品としてOEM供給した事もあってか、このボードはどちらかと言えばスキャナなどのASPI対応周辺機器の接続に重点を置いていたらしく、その意味では互換性を含め、申し分ない性能を発揮した。
実際、HDDを接続して利用する分にはPC-9801-92にさえ劣るレベルの転送性能しか出ないが、Cバス接続のSCSIボードでASPI対応SCSI機器を接続して利用したい場合、このボードが業界標準となるのは厳然たる事実であり、現実にCバス対応ではこのボードでしか動作保証をしないSCSI周辺機器が多々あった事は記憶に留めておくべきであろう。
また、このボードはBIOS無しでも、つまりASPIドライバだけでもDOS上で動作するので、SCSIカード/ボードの複数枚同時挿しを求められる場合に貴重な選択肢となる点は特筆しておかねばなるまい。
これは良くも悪くも「業界標準のSCSIカードメーカーがNECにOEM供給した標準的なASPI/PnP対応SCSIボード」である。
なお、余談だがこのボードはWindows 2000でもIn Boxドライバが用意されており、Cバス用SCSIボードでは唯一のWindows 2000公式対応品となっているので、特にPC本体側PCIスロット本数が1本の機種でWindow 2000を動かす場合には救いの神となる可能性がある。
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