IF-2769 / ICM


インターフェイス:SCSI-2 (50pin SE 10MB/s)

転送モード:DMA/FIFO/Bus Master

Bus:C Bus (16bit)

コントローラ:WD33C93BJM / Western Digital + M38S0300-018 / ICM

対応機種:PC-9800シリーズ

動作確認マシン:PC-9821Xv13/W16,PC-9821Ap2/U2


 PC-9800シリーズの全盛期にストレージ系周辺機器の名門として知られたICMが、1995年に送り出した同社最後のCバス対応SCSIボード。

 PC-9801-92互換、マルチベンダ対応、PnP対応、ディップスイッチレス設計、そして高速バスマスタ転送で、Windows 3.1時代の同種ボード中でも最速の転送性能と良好な使い勝手を実現していたのだが、それ故にドライバの開発が遅れ、最終的にはICMが倒産してしまった為に遂にまっとうなWindows NT対応ドライバが作成されなかった(注1)悲劇のボードである。

 なまじPnPに対応して完全ジャンパ/スイッチレスにした事が祟り、そのままではドライバのあるMS-DOS+Windows 3.1それにWindows 95以外ではまともに使えないというのはいかにも辛い。

 何しろ添付あるいは配布されたWindows 95/NT用ドライバは実は完成度が低くて(涙)、普通のドライバなら出来る事が多い筈の後継バージョンOSへの流用が利かず、そのままではWindows 98やNT 4.0では「PC-9801-55互換」としてしか使えないのだ。

 性能面に関して言えば、バスマスタ転送故にPCIバスのPC-9821ではやや不利(注2)だったのだが、本来の想定機種の一つであったと考えられるPC-9821Ap2と組み合わせた時にはかなりの転送能力を示し、SMIT登場以前のCバスSCSIボード中でもトップクラスの性能であった事を証明してくれた。

 かなりの実力を備えたボードだっただけに96年春のICM社倒産=ドライバ開発の停止が惜しまれてならない。

 只、DOSで利用する分には殆ど問題の無いボード(非PnP機なら尚更である)なので、非力な486以前のCPUを搭載したマシンでDOSのみを対象として利用する分には、CPUに負担をかけないバスマスタ転送対応ボードでも最速級の性能を備えたこのボードの方がSMIT対応ボードよりも寧ろ好適なのではないかと思う。

 ちなみにこのボードはパソコン工房岡山店において処分値(\2,480)で売られていたのを買ったもので、結局は先述のPC-9821Ap2/U2を持つ知人(大学のサークルの先輩)に譲ったのだが、当然ながらWindows 98ではちゃんと動かず、困った末にどうせPnPの設定以外は殆ど仕様変更はされていないだろうとあたりを付けて、Windows 98に標準で入っているInBoxのIF-2768用ドライバのinfファイルに色々と乱暴な小細工(注3)を弄したら問題なく動く様になったので、そのままでごまかしてしまった(爆)。

 渡してから随分経ったが未だに特に苦情は無い様なので、多分あれでOKだったのだろう(笑)。


 (注1):但し、倒産寸前にNT 3.5x用はβ版が配布されたので、これらでは動作する事はする。

 (注2):それどころか、PC-9821Xa7e以降に発売の各機種ではCバススロットのメモリリフレッシュ信号が事実上廃止(厳密にはITF ROMで起動時にデフォルトでは同信号を出力しない設定に変更された。今更Cバススロットに拡張メモリボードを挿して利用する事はあるまい、という判断に因るものらしい。一応、ESC+5+HELPを押しつつ電源投入すればこの信号は出力される様になる) された為、この信号を利用する当ボードは開発時期の新しいPnP対応ボードであるにもかかわらず、これらの機種では上記の設定変更を行わないと正常動作しない。

 (注3):確か2768と書かれている部分を全部2769に書き換えた覚えがある。思えばひどい事をやったものである。


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