PC-9821Xe10/4-Z


CPU:

Pentium ODP 83MHz → AMD-X5-133ADZ (Am5x86-P75) 133MHz

RAM:

32 + 8(72pin FastPage DRAM SIMM)= 40MB

HDD:

420MB(ATA)

FDD:

3.5inch 3 Mode * 1

 

拡張機器:

(サウンドボード)

PC-9801-86 / NEC

(SCSIボード)

LHA-301 / Logitech

(LANボード)

LGY-98J-T / MELCO


 筆者にとっては通算12台目の98。

 LANボードとSCSIボード、それに32MB SIMM付きで5,000円を切るという、それぞれのパーツの中古価格の合計より遙かに安い驚愕の処分価格につられて購入し、結局分解調査しただけで満足してHAN-LAY氏(大学時代の所属サークルの先輩)に進呈した。

 Xe10は486系CPU搭載98としては最終期の製品で、L2Cを持たない為に性能面ではAs2・Ap2・Xs・Xp・As3・Ap3といったL2C搭載/搭載可能機種と比べれば劣るが、チップセットの集約・合理化が進んでハードウェア設計としての完成度がかなり高く、同時期のCanBeにもこれのチップセットが利用されるなど、486系ローカルバス搭載98の最終到達点に相応しい仕上がりであった。

 上位機種にWildcat搭載のXa7/9/10やXt13が設定されていた当時のラインナップ構成の最下位という扱いであったから拡張性の点で意図的な制約や制限が与えられており、それ故現役時の人気や評価は芳しくなかったのだが、今の視点で見ると486系マシンとして安定性が抜群に高く、またCPUを選ばない(注1)ので、DOSマシンとして考えると決して悪い機種ではない。

 強いて言えばグラフィックコントローラがMate X系故に正規のPEGCではないのが残念だが、9821対応DOSゲームでPEGCのプレーンモードアクセス等を使用したものは殆ど存在しないから、これがウィークポイントとして強調される局面はまず無いだろう。

 なお、筆者が入手したモデルには標準状態ではIntelの政治的圧力(合掌)で当初のAm486DX4 100MHzではなくPentium OverDriveProcessor 83MHzが搭載されていて、筆者などは現役当時それやったらXe10やのうてXe8やんなどとツッコミを入れていたのだが、このCPU、浮動小数点演算だけは確かに滅茶苦茶速い(注2)がそれ以外は正直486DX4の100MHzの方が余程実用的という惨憺たる有様で、これを挿すなら4倍速設定を有効にするかそれとも専用の下駄を介してAm5x86-P75(注3)を挿した方が遙かに実用的である、というのが筆者の正直な感想である。


 (注1):L2C対応機種は往々にしてCPUをえり好みする傾向が強く、中には対策を講じた特殊な下駄を介しても駄目で、結局L2Cを外す必要がある製品すら存在した。その点、この機種はITF-ROMのレベルでライトバック動作にも対応しているため、ソケットの仕様さえ合えば何を挿しても大概はそれで動作するので扱いが楽である。

 (注2):正規のPentium同様にFPUに演算器を2組持っているので、単純計算でも演算器を1基しか持たない486系に比べて同クロックで約2倍のパフォーマンスが出る事になる。

 (注3):AMD-X5-133ADZ。実質的には486の4倍速133MHz駆動版。製造プロセスが新しくFSBのオーバークロックに良く耐えた事で知られる。ちなみに普通の状態でもCPUそのものは40MHz*4=160MHz駆動が安定動作するというオーバークオリティぶり(筆者はPC-9821As2/U8Wで試したが、FSB上昇はL2Cの方が先に音を上げた)で、更に「当たり」を引けば50MHz*4=200MHzでも動作した由である。


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