GA-VDB16/PCI / I-O DATA


Graphic Acceralation Chip:Voodoo Banshee / 3Dfx

RAM:8ns SGRAM 16MB

Port:PCI Rev.2.0 (32bit 33MHz 5V)

動作確認マシン:PC-9821Xv13/W16PC-9821RvII26/N20PC-9821Ra300/M40、PC/AT互換機(S2460 Tiger MP


 1998年冬に登場した、3Dfx初の2D描画機能内蔵グラフィックアクセラレータチップであるVoodoo Bansheeを搭載するPCI対応グラフィックカード。

 同時開発の姉妹機種としてバス/ポート以外は仕様の共通するx1 AGP対応版のGA-VDB16/AGPが存在する。

 Voodoo BansheeはAllianceSemiconductorのProMotionAT25等を2D描画用に搭載して初代Voodooのサブセット版であるRushと組み合わせたVoodoo Rushが3D・2D共に不満足な性能という事で不評を買った反省から、Voodoo2をベースにメモリ周りの高速化(EDO DRAM→125MHz SGRAM)、コア性能の向上(64bit 90MHz駆動から128bit 100MHz駆動へ)、と基本部分の大幅な性能向上を実現しつつVGA互換機能を含む2D描画機能を付加したチップで、テクスチャ演算ユニットを1基しか搭載していない為に3D描画性能がSLI動作時のVoodoo2には劣るものの、VGA互換機能の搭載によって必要なスロット本数が最大で1/3になる(SLI構成だと一部の例外を除き2枚のVoodoo2に加え、2D用カードが要るので3スロット必要)という大きなメリットがあり、しかもSLI構成のVoodoo2に劣るといってもコアクロックやメモリインターフェイスの進歩などといった基本性能の向上でシングル構成のVoodoo2よりは確実に速かったので、このチップを搭載したカードは最大のライバル、nVIDIAのRIVA TNTを搭載する各社のグラフィックカードと共に98年のクリスマス商戦で大ヒットを飛ばした。

 このカードは3dfxのリファレンスデザインを基にしつつも大幅に手を入れた独自設計の基板に、耐久性が高く静かな山洋電気製薄型クーラーを搭載するかなり意欲的な設計となっており、画質的にも当時の平均以上を実現している。

 性能的にはI-O DATAオリジナルのドライバが提供されている為、3dfxのリファレンスドライバべったりの同等品に比べて高速且つ安定動作を実現しており、加えて3dfxの消滅によってリファレンスドライバが提供されなくなったWindows 2000対応ドライバもきちんと用意されている上に、PCIバス対応、それもPC-9821対応を公式に謳うまっとうな3Dグラフィックカードであるこのカードの利用価値はかなり高い。

 これは余談だが、Voodoo BansheeはVoodoo2のアーキテクチャを引き継いだ関係からか、これ程高機能かつ高速であったにもかかわらず何故かバスマスタ転送モードには非対応で、それ故バスマスタ信号線が来ていないPCIスロットを持つPC-9821Xt13/16等のユーザーに愛用された。

 このカードはPC-9821に正規に対応する製品としては実質的に最速をマークしていた為、その生産終了間際には98ユーザーによる凄まじい争奪戦が発生した事でも知られている。

 もっとも、今の感覚ではそれ程高速という印象はなく、DirectX上での3D処理においてチップ側の機能実装の関係で互換性にやや問題がある事や、16bitカラーモードでなければ3Dアクセラレーション機能が動作しない事、DVDの動画再生支援機能の非搭載、更にはCoppermineコアのPentium III/Celeronでは(何故か)パフォーマンスが大幅低下するという問題がある為、GLIDE対応のアプリケーションを動かしたい場合か、バスマスタ信号線の無いPCIスロットにどうしてもグラフィックカードを挿したい場合、さもなくばPCIバス搭載のPC-9800シリーズでWindows 98を快適に動作させたい場合を除けば今敢えてこれを選ぶ理由は存在しない。

 もっとも、裏返せば上記の条件に一つでも該当するならばこれ以外の選択肢は非常に少なく、特にPC-9800シリーズのWindows 9x上での動作となるとこれの他には同じチップを積むWGP-FX16N位しか選択肢が存在しないのであるが・・・。

 なお、この製品はチップの製造プロセスの関係で動作時の発熱がかなり大きい為、マシン内部の冷却/排熱には特に留意する必要がある。

 また、これはVoodoo Banshee搭載カード全てに言える事だが、上にも記した通りCoppermineコアのPentium III / Celeron搭載PCでは大幅なパフォーマンスの低下が発生するので、その様な機種ではCPUをTualatinコア等といった別種類のコアの物に換装するか、さもなくばこのカードの使用を諦めるのが賢明(無論、自前でCoppermine対応ドライバを書けるというのであれば話は別だが)である。


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