GA-586HX2 / GIGA-BYTE


CPU Type:Socket 7

Chip Set:82439HX (Triton II) + 82371SB ( PIIX3) / Intel

FSB Clock:60, 66MHz

Onboard L2C:512KB

RAM Module Type:72pin EDO/Fast Page Mode DRAM SIMM *6

Ext.Slot:32bit 33MHz PCI *3, 32bit 33MHz PCI/ISA *1, ISA *3

Power Supply Type:AT

Board Form:Baby AT

BIOS:Award Modular BIOS v4.51PG


 1997年8月末に最初に買ったPC/AT互換マザーボード。

 当時市場に君臨していたASUSTekのP/I-(X)P55T2P4と同様にTriton II(430HX。同時期発表の430VXもTriton IIと呼ばれる為、便宜上Triton HXと呼ばれる事が多い)を搭載したマザーボードで、雑誌での人気はそれ程高くはなかった様であったが同様に完成度の高い製品であり、通常のマザーボードでは4本しかないSIMMソケットが6本分搭載されていたので小容量メモリを多数抱える向きからは歓迎された。

 今思えばTriton HX搭載マザーボードには傑作が多く、チップセットそのものの完成度が突出していた事を思い知らされるのだが、それでもSIMMソケット6本というのは電気的な制約あるいは信頼性を考えれば結構難しく、それを危うげな所もなしに実現してのけたGIGA-BYTEの技術力は評価に値しよう。

 逆に言えば6本のSIMMソケットを付けた事はオーバークロックを楽しむ人々には不評(メモリ関係の信号配線引き回しが長くなる為、規定外の高クロック動作時には信号反射等によるノイズが乗りやすく、信号の安定性に問題が出る可能性がある)であった様であるが。

 ちなみに、このSIMM 6本構成は同社の前作に当たるTriton FX(430FX)搭載のGA-586ATEの仕様(但しこちらの場合チップセットの制約でメモリは最大128MBまでしか積めない)を引き継いだものである。

 Triton HXはTAG RAM(キャッシュレンジを決定する。GA-586HXの場合標準では最大値の1/2しか搭載されていないが残りは追加搭載出来た)の最大搭載量が先代のTriton FX、あるいは同時期の姉妹品であるTriton VXや後継のTriton TXよりも大きく、キャッシュの有効なRAM領域が512MBまで確保出来(FX/VX/TXは64MBまで)、しかもこの製品では実装されていないがAPIC搭載でSMP構成によるDual CPU化が可能(GA-586DXで実現)という特徴があった。

 これによってVX/TXの様にSDRAMは使えなかったが、初期のSDRAMが大した性能では無かった事もあって、実際のパフォーマンスではむしろTXよりも高性能という事になり、大量のメモリを搭載する必要のある向きにはかなり長期間に渡って愛用される事となった。

 事実、Windows 95の時代の後半、あるいはWindows 98やNTが一般的に用いられる時代になってくると、Triton VX/TX搭載機はそのキャッシュレンジの問題でメモリ拡張をしてもかなり苦しいのに対して、Triton HX搭載マシンは充分な量のメモリと相応の速度のCPUを搭載しさえすれば、それはそれで応分のパフォーマンスがコンスタントに得られており、その寿命に差が出る原因となっている様だ。

 但し、Triton HXはサウスブリッジチップがPIIX3であってその内蔵ATAインターフェイスがUltra DMA/33以上をサポートしていない為、ある程度の性能を維持しつつ延命を図るには、少なくとも何らかのPCI対応高速ドライブインターフェイスカードを挿してHD等をそちらに接続する必要があろう。

 このGA-586HXはRev.1.0以来Intel製Socket 7用CPUの変遷に合わせて細かく仕様変更が繰り返されていて、私が手にしたRev.2.01、便宜上HX2と区分された製品の頃にはMMX PentiumだけではなくAMDのK5やK6までフォローされていた。

 実は、店に行くまでは同じメーカーのGA-586Sと迷っていたのだが、知人がそれを先に購入したので同じでは面白くなかった(笑)事とSIMMソケット数が多かった事、そして在庫があって即納だった事からこちらを選択した。

 この時の判断の結果は大正解(苦笑)で、件の知人が設定その他で苦しむ一方で、こちらはあっさり組み上がってしまったりした。

 このGA-586HX2は非常に素直な設計のマザーボードで、これといって目新しい機能は搭載されていなかった(それでもUSBは専用ブラケットを用いる事で使用可能だった)が、それ故に何を挿しても特に問題が出なかったのも確かである。

 後から考えるにこのマザーボードが最初の一枚だった事は非常に幸運だった。

 少なくともこれがとことん素直で堅実な設計だったお陰で、初心者が良く陥る様なトラブルが起きた時にもハードを信じて前進出来たのは確かだ(苦笑)。

 そういう意味では、初心者入門用ハードウェアというのはしっかりしたものであるべきだと思う。

 尚、このボードは長らく実家に置いてある1号機に組み込んでいたが、ソケット実装されたRTCの内蔵電池が切れかかっているのか、不調が目立った為にMS-6163+ATX筐体(3号機)と置き換え、こちらの方はAT電源による1号機筐体ごと暫くお蔵入りという判断になった。

 その後、余剰品で必要な部品が揃ってしまった(笑)為に復活し、貸し出した後に2001年2月28日付で売却と相成った。


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