MZ-1E14
(MZ-700用QD I/Fボード)




 MZ-1500でデビューしたQDをさらに普及させるためMZ-1F11という後付けドライブも発売したわけですが、それをMZ-700に接続するためのI/Fボードです。
 写真手前側をMZ本体のバスコネクタに、反対側にQDから延びるケーブルを接続します。



 裏返してみたところ。奥側に白いものがついていますが、バスコネクタに接続した時、ぶら下がって重しにならないよう足がついているのです。



 中身はこんな感じ。QDはI/Fの大部分をドライブに収めてしまってますので、ここにある回路の大部分はブートROMのデコード用だったりします。
 MZ-700に装着するとこんな感じ…外付けドライブであるMZ-1F11を載せるのだから、こういう姿になるのは仕方がないんですけと…。

 MZ-700のバスコネクタには電源が出ていません。拡張I/Oボックスに差し込むボードの回路はそちらの電源で動かすから、不用意に余計な電力を外に出しません…という設計思想ですね。ですがMZ-1E14のようにバスコネクタに直接ボードを取り付けちゃうとそういうわけにはいきません。

 そこで、このI/FはQD経由の電源で動作することになっています。QDはデータレコーダ(MZ-1T01)用の白いコネクタから電源をもらい、そこからケーブルを通してI/Fに電源を供給します。MZ-1E18MZ-1E19からQDを接続する場合と電流の流れが逆になるんですね。

 コネクタを流用しないといけないがためにデータレコーダを外す必要があり、またそれゆえにQDドライブをデータレコーダの代わりに装着するわけです。そのスタイルってかなり不格好なので、単純に外付けにするような接続ができれば良かったんですけどねぇ。

 QDはメディア価格が安いということでターゲットは若者ということになっていたのでしょう、通常I/Oボックスを経由する拡張方法ではなく、拡張バスコネクタに直接差し込むということになっています。つまり、そういう部分にメリットを見いだすような人は、拡張I/Oボックスは買ってないだろうという判断ですね。

 しかしながらやっぱり当時からこのボードがバスコネクタを占有することについて悩む人はいたようで、Oh!MZ誌にこのボードをI/Oボックスに収めることに成功したぞ!本当だぞ!!と叫ぶ投稿をする人がいたなど、後々のシステムアップ時の問題となりました。まぁようやくお金が貯まったので念願のFDDを購入した!→QDと排他接続なのでFDへの転送は一旦テープを経由しないといけなくて面倒、というようなことは容易に想像がつきますからね…。

 実はブートROMのアドレスはFDのとずらしてある($E800〜)ので、本来併用することはできるはずなんです。たいした回路ではないのですから、ユニバーサルボードにICを並べてROMをこいつから移植すれば比較的容易にI/Oボックスに収納することができるでしょうね。


QD ROMモニタの隠し機能

 MZ-1E18とは違い、MZ-1E14のROMはブートするだけじゃなくてMZ-700の標準モニタである1Z-009A(輸出版は1Z-013A)を拡張します。BASIC 5Z-006のマニュアルには次の2つのコマンドの説明が掲載されています。

 しかし、ROMの中身をよく見てみるとそれだけではないことがわかります。モニタコマンドの拡張といっても処理の多くをQD ROMルーチンでまかなっていますし、隠しコマンドもあったりします。

 9Z-502M、つまりMZ-1500でないと使えなかったメモリダンプができます…1Z-013Aでは隠しコマンドとして使えたりもしましたが。バイナリダンプの右にはアスキーダンプも 表示されています。
 FD I/FのブートROMに制御を移し、FDDからシステムを読み出して起動します。
…えっと、バスコネクタをMZ-1E14が占有してるのでFD I/Fなんか接続できないんだけど?

 そう、製品の構成から考えるとFコマンドの存在があまりにも不思議なんですよね。単に1Z-009AのFコマンドの処理を呼び出しているのではなく、FD→QD→モニタプロンプトと順番に起動を試みるというような仕組みも備わっています。さらには、起動の順序を制御できるようQを押しながらリセットするとFDブートをスキップし、Mを押しながらだとモニタプロンプトに直接移行するようにもなっています。

 これは、拡張スロットに挿入するタイプのQD I/Fボードの存在がないと成立しない話です。推測するとすれば、MZ-1E19にブートROMが搭載されたようなボードを計画していたのだがブートROMの完成より後の時点で仕様変更されたか、拡張I/Oボックス(MZ-1U03/1U08)を既に所有しているユーザー向けのI/Fボードを出す(ROMの内容は共通)計画があったが取りやめになったか…。

 なんとももったいない…と思うのは中古などで入手したりエミュレータやFPGAで実装できる今だからこそで、当時はやはりそれだけのものを買うのは大変なわけで…。まぁせっかく作ってあったのに活用できる人がどこにもいなかったのは残念でしたね、というお話でした。

(多分、MZ-700にMZ-1U03+MZ-1F07(MZ-1E05)+MZ-1R12+MZ-1E19+MZ-1F11という構成にして、MZ-1R12にMZ-1E14のROMを載せれば共存システムが作れるはず…)

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