メルクリウスプリティ 錬金術師の憂鬱


ジャンル:ジュブナイル(ファンタジー)小説

著者:苑崎 透

出版社:発行:メディアワークス 発売:主婦の友社

形態:文庫(電撃文庫)

ISBNコード:ISBN4−07−306012−0

初版発行:1997/04/25


 建前上、この作品はPC等で好評を博した育成シミュレーションゲームのノベライズという事になっている。

 だが、それは真っ赤な大嘘だ(笑)。

 どちらかと言えば、この作品はゲームの世界観やら道具立てをダシにして描かれた、驚愕のオリジナル・ギャグ・ファンタジー小説というのが正しいだろう。

 元になったゲームというのはつくづく忠実な小説/コミックス化の困難な話(そりゃそうだろう。何しろ研究室の中で延々ホムンクルスを育てるのが仕事なんだから)なのだが、それにしてもこの小説は極端に走ったきらいがあって、同じゲームのコミック版がリリカルというか何というか、非常にほのぼのした、いわゆる「エエ話」にまとまっているのと対照的に、ひたすらラジカル且つアヴァンギャルドに突っ走ってしまっている(笑)。

 普通なら、そういう作品はただの屑ノベライズとして捨て置かれる(苦笑)所なのだが、この作品の場合、適度に正確な考証(それがよりによって異端審問官だの、悪魔崇拝者だのに関わる部分だというあたりに作者の性格の悪さが出ているのだが)と、錬金術という物に対する一本筋の通った見識があったお陰で、稀にみる怪作ファンタジー小説に仕上がってしまっているのだ。

 少なくとも、錬金術や悪魔崇拝に興味や知識のある方ならば笑える事は請け合いだ。

 もっとも、後半妙に詩情に満ちたシーンがあったりもするので、お笑いネタだけでもないのも確かだ。

 余談になるが、著者はドリームキャスト版「メルクリウスプリティ」の監督を務めており、そのせいかゲーム中には悪魔崇拝者が登場するそうだ(笑)。

 個人的にはやはり「頭のネジのゆるんだ異端審問官」も出てきて欲しいのだがどうだろう(笑)?

 とりあえず続編があるなら是非読みたい作品だ。


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