語り手の事情
ジャンル:小説
著者:酒見賢一
出版社:文藝春秋
形態:四六判 ハードカバー
ISBNコード:ISBN4−16−317580−6
初版発行:1998/03/30
酒見賢一の「陋巷に在り」以外での久々の単行本。
性に関する妄想を巡る奇々怪々な物語を第三者的立場に立つ「語り手」が一人称視点(時に入れ替わる事はあるが)で語る、ある意味意表を突いた構成の物語なのだが、これが物凄く面白い。
それは下手なエロマンガを遙かに凌駕する、何というか良く出来た文章という物の持つ凄まじくエネルギッシュな表現力と、読み手の想像力を易々と超える強烈な構成力、そして例によって該博な知識が混沌のスープに投げ込まれた様な物語であり、万人に勧める事は躊躇われるものの、とにかく面白い物語を求める人には強く勧めたい作品である。
何より、あまりにも極端な妄想(それでも下品に感じさせないあたりは流石だ)を起点に置く事で、一見無茶苦茶な「変態プレイ」とされる様な行為を容易く描写し、その後その起源とその本来の意義に次第に迫ってゆく下りの刺激の強さと巧さは無類のものであり、これだけでも読んだ価値があろうというものだ。
それはあの鮮烈なデビュー作「後宮小説」と基底で共通する、著者の一貫したテーマとでも言うべきものであり、それだけに「後宮小説」後の著者の進化(深化か?)が強く伺える。
まぁ、テーマがテーマなんで18歳未満禁止って感じなのが問題と言えば問題なんだが(苦笑)。
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