ENVY24HT-HG8PCI / 玄人志向


接続バス:PCI Bus (32bit 33MHz 5V)

サウンドコントローラ:VT1724 ENVY24HT / VIA/ICEnsemble + WM8776・WM8766 / Wolfson

対応機種:PC/AT互換機

動作確認マザーボード:S2895A2NRF Thunder K8WE


 2005年5月に発売開始された、96KHz 24bit SPDIF光/同軸入出力・7.1chアナログ出力対応のサウンドカード。

 現在も玄人志向が発売している、NO-PCIというPCIカード形式のノイズ除去ボードの技術を応用して低ノイズ化を実現したとされる(注1)。

 OS-CONや大容量低倍箔電解コンデンサといったノイズ対策上有利な電解コンデンサを大量に実装し、アナログ系の設計と実装に力を入れた、この時期のハイエンド寄りサウンドカードの一つの典型例で、当時はオンキヨーSE-150PCIの対抗馬と目されており、オペアンプをソケット実装として交換可能としている(注2)が、実のところ筆者はこれのアナログ出力の音を聴いたことがないのでこの部分については語るべき言葉を持たない。

 理由は単純で、このカード、アナログ出力はD-SUB15ピン(3列)、つまりアナログVGA出力に使用されるあのコネクタとこれにつながる専用のブレイクアウトケーブルを使用する必要があるのだが、筆者が入手したカードは訳ありの一品で、これが付属していなかったため(注3)である。

 正直なところを言えば、音質も何もない様なD-SUBコネクタに細いブレイクアウトケーブル(注4)を使っている段階で他の部分をどうしようが多寡が知れている気がする(注5)し、WolfsonのDACが特に良い音だった記憶もない(注6)のだが、ともかく世間ではこれは一応高音質なハイエンドサウンドカードということになっているらしい(苦笑)。

 ちなみに添付のドライバはVIAのリファレンスドライバそのもので、ASIO非対応である。

 筆者がこのカードを入手したのは、例によって3.3Vキーの欠き取りがあったことと、同軸のSPDIF出力があって色々潰しが利く実装であったためだが、購入後早速実験してみたところ、残念ながらこのカードは5V専用で、そのままでは3.3Vスロットで動作しない。

 データシートを見る限りチップそのものは3.3V動作対応であったため、カードエッジ部の配線パターンカットを実施してみた(注7)ところ、少なくともSPDIF出力についてはPCI-Xスロットでの正常動作を確認した。

 普通に5Vスロットで使う分には、今なら同系チップ搭載のオンキヨーSE-200PCIがあるので、あえてこれを選ぶ必要は無いが、単純にSPDIF出力デバイスが欲しいのであれば、そして中古か何かで例えばブレイクアウトケーブル欠品のもの(注8)を廉価に入手できるのであれば、これも悪い選択肢ではないだろう。


 (注1):上掲画像でも明らかかと思うが、アナログ増幅部に限ってシールドを行っているなど、その設計、というか採られたノイズ対策は非常に真っ当なものである。玄人志向ということで何やら際物のように見られていた節があるが、最悪のノイズ源たるサウンドコントローラまで何も考えずに一緒くたでシールドボックスに突っ込んだ某C社の無知蒙昧な技術陣に爪の垢を煎じて飲ませたい、王道をゆく設計である。

 (注2):標準搭載は新日本無線のNJM4580D。無難な選択だが、無難なだけとも言う。

 (注3):その後変換アダプタを自作してテストしてみたが、予想の範疇を超えるものではなかった。なお、D-SUB 15ピンコネクタのピンアサイン(推定含む)は以下の通り。最近、ヤフオクの出品者でこの表目当てでこのページに直リンクする横着者(地獄に堕ちろ)が増えているので消してしまおうかとも思ったのだが、一応。

  01:Line Out 1(Front Right)
  02:Line Out 2(Front Left)
  03:Line Out 3
  04:Line Out 4
  05:Line Out 5
  06:Line Out 6
  07:Line Out 7
  08:Line Out 8
  09:Ground
  10:Ground
  11:Line In 1 (Right)
  12:Line In 2 (Left)
  13:Mic In 1 (Right)
  14:Mic In 2 (Left)
  15:Ground

 (注4):実物は見たことがある。ある程度の配慮はあったが、まぁ、「電気回路が繋がる」以上のモノではないというのが正直な感想である。

 (注5):8ch出力に対応するための苦渋の選択であることは判るが、増幅最終段のカップリングコンデンサ省略によるDCアンプ動作に注意が必要なことがどうのという以前に、あんな細いケーブルやステレオミニジャックを使った段階で何やら本末転倒な感じはする。

 (注6):まぁ、これは筆者がDATの昔からAnalog DevicesのDACチップ(特にマルチビットもの)の音が、他のどこのDACチップのものより好きであったこともあるので、好みの問題ではある。ただ、それだけにこの問題は根深い。

 (注7):後で気づいたのだが、JP2を1-2から2-3に切り替えれば3.3Vでも動作したのでは無かろうか。もっとも、パターンカットをやってしまった今となっては確認のしようがないのだが(苦笑)。

 (注8):これが案外多い。


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