DAC960PL / Mylex


インターフェイス:Wide SCSI (SE 68pin 20MB/s) * 2 Channel

転送モード:Bus Master

Bus:PCI Rev.2.0 (32bit 33MHz 5V)

SCSIコントローラ:53c720 / SYMBIOS LOGIC * 2

対応機種:PC/AT互換機

動作確認マシン/マザーボード:S1668D Titan Pro ATX


 RAID機器の老舗として知られたMylexのPCIバス対応RAIDカード。

 PCU(189206-2 / Mylex)と呼ばれるPCIバスブリッジと、MCU(189105 / Mylex)と呼ばれるメモリコントローラ(カード上には72pin SIMMソケットが1基実装されており、容量4/8/16/32MBで70ns以上の速度のパリティ付きFast Page Mode DRAM SIMM 1枚を挿して使用)、Intel 960JF RISCプロセッサ(NG80960JF25 / Intel)、そしてNVRAMモジュール(DS1225Y-200 / DALLAS)より構成されるコントローラ部の下にSYMBIOS LOGIC(現LSI LOGIC)製53c720 Wide SCSIコントローラ2基(基板には3基分のパターンが用意されているが1基分は実装されていない)を接続するという、この頃のハードウェアRAIDカードの典型例とでも言うべき構成・デザインのカードであり、バッテリバックアップユニット用コネクタ(このカードでは未実装でジャンパブロックでショートさせてある)が用意されている事もあって、フルサイズPCIカードとなっている。

 ファームウェアは128KBのIntel製Flashメモリ(N28F001)に格納されているが、このメモリ用のソケットは2つ用意されており、上に1つ挿している場合には最低限の機能に局限した実装のVer.2.xx系(最終バージョンは2.73)しか使えないが、 同種同容量のFlashメモリを追加する事で2つ共挿した場合には、BIOS上でのディスクアレイメンテナンスが可能で多機能なVer.3.xx系ファームウェアの利用が可能となる。

 一般的にはハードウェアRAIDカードというとNetware系やWindows NT系、あるいは商用UNIX互換OSといったいわゆるNOSしかドライバサポートされないのが常であるが、このMylexのDP960シリーズではWindows 3.1/9xやOS/2までサポートされており、RAIDカードとしての性能はともかく、その利用範囲は非常に広い。

 このシリーズは各社のPentium(P54C)やPentium PRO搭載サーバ/ワークステーションへOEM供給されており、筆者が入手したのはHewlett-Packard向けのモデルであった。

 この為、入手時点で書かれていたファームウェアのマシン起動時のBIOS初期化メッセージはHewlett-Packard向けにカスタマイズされた専用のものであった。

 ファームウェアがVer.2.xxの場合ディスクアレイの構築やメンテナンスを全てDOS上で行う必要があり、その為のユーティリティの起動までにかなりの手間を要するが、逆に言えばこの状態だとメンテ担当者以外が勝手にディスクアレイの設定を変更しにくいので、保守保安上はこのバージョンにも大きな利点がある訳である。

 何しろWide SCSI対応という事で、今となっては古色蒼然たる性能でしかないが、RAID 5がWindows 9xでも利用可能な点で今尚利用価値が残されている。

 なお、このカードのドライバやファームウェア、あるいはマニュアル類はIBM(1999年にMylexを傘下に置いた)を経てたどり着いたLSI Logic(2002年の第3四半期にMylexをIBMから買収。ちなみに最大のライバルであったAMIのMega RAIDも今はLSI Logic製品となっており、Mylexはこれに統合された)のサイトで今尚ダウンロード可能となっている。


インデックス

一応、当ページの内容の無断転載等を禁止します