MFU2C-800 / mathey


インターフェイス:USB 2.0 + IEEE1394b

転送モード:Bus Master

Bus:PCI Rev.2.3 (64bit 33MHz 3.3/5V)

USB 2.0コントローラ:μPD720101GJ / NEC

IEEE1394bコントローラ:TSB81BA3 / Texas Instruments + TSB82AA2 / Texas Instruments

PCI to PCI バスブリッジ:PCI6154-BB6BC G / PLX

対応機種:PC/AT互換機 , Power Macintosh

動作確認マシン/マザーボード:xw9300/CT,S2567U3AN Thunder HEsl


 2006年夏に発売開始された、64bit PCIバス対応のUSB 2.0 + IEEE1394b複合カード。

 機能的には、PLX Technology製のIntel(旧DEC)21154互換PCI to PCIバスブリッジであるFastLane PCI 6154を搭載し、このチップが提供するPCIバスブリッジ機能によるセカンダリPCIバスに32bit PCIバス接続対応のUSB 2.0コントローラと64bit PCIバス接続対応のIEEE1394bコントローラを接続する。

 この設計により、G3世代以降のPower Mac、それもUSB 2.0もIEEE1394bも搭載しない、コードネームYosemiteとして知られるPower Macintosh G3以降、2002年のPower Mac G4 (Mirrored Drive Doors)までのPCIバススロット搭載Power Macで3本ないしは4本しかないPCIスロットを有効活用し、さらに32bit 33MHz PCIでは帯域が充分ではないIEEE1394bの性能をフルに発揮可能としている。

 しかも、搭載されたFastLane PCI 6154は2005年前半モデルまでのPower Mac G5で搭載された、より高速なPCI-Xスロットにおいても、100/133MHz駆動こそ対応しないが66MHz駆動には対応するため、カード上のデバイスは33MHz駆動であっても同一バス上の他のデバイスが66MHz駆動することは妨げない(ブリッジチップがプライマリバスについて66MHzに対応する21154系チップなればこその機能である)という特徴がある。

 つまり、例えば66MHz以上のクロックでの動作に対応するUltra 160/320 SCSIカードやSerial ATAカードを同じバススロット(Power Mac G5の場合は必然的に100MHz駆動のPCI-Xスロットとなる)上に挿しても(ブリッジ経由による多少のレイテンシ増大はあるものの)フルスピードは出ずとも66MHzでの動作は可能となる訳で、結果的に33MHz動作対応品しか存在しないTI製IEEE1394bコントローラやUSB 2.0コントローラを単独搭載するカードを使用する場合より、かえって良好なパフォーマンスが得られる可能性が高い。

 具体的に言えば、このカードのIEEE1394bが転送性能の理論上限値(100MB/s。ただし、実際にはコマンドオーバーヘッドや誤り訂正などがあるので、そこまで出ない)で、そしてUSB2.0も同様に理論上限値(60MB/s。ただしこれもIEEE1394bと同様、ピークで45MB/sも出れば御の字である)で、データをマザーボードとやりとりしている状態であっても、同一バス上でUltra 160 SCSIの帯域幅は余裕で確保可能(もっとも、これら3デバイスが同時に帯域をフルに使うケースというのはかなり特殊な状況であるから、実際にはUltra 320 SCSI対応コントローラでも1chならば帯域幅が不足するケースはあまりないだろう)、GbEカード(上下それぞれフルに送受信しても理論上限で1000Mbps=125MB/sの上下で合計250MB/s。つまり、GbE 1チャネルだけでも64bit 33MHzあるいは32bit 66MHzのPCIバスで理屈上かつかつ一杯となる)も楽勝、ということになる。

 いささか込み入った話になってしまったが、これは要するに世間でどんどん高速インターフェイスの普及が進む中で、ほとんどUSB 1.1 + IEEE1394a止まりであったG3/G4搭載Power Macで効率よく高速インターフェイスを搭載し機能をアップデートするためのカードであり、実際にもこの世代のPower Macユーザーにマシン買い換え無しでのパフォーマンスアップ手段として、GbEカードやSATAなどの高速ストレージカードとセットで強く支持された一品である。

 各インターフェイスのコネクタはUSB 2.0が内部1ch、外部3ch、IEEE1394bが内部1ch、外部3chとなっており、バスパワー給電の必要なIEEE1394bでPCIバス以外から給電するための5V/12V入力コネクタを別途搭載している。

 また、IEEE1394bコントローラに接続された各機器へ電力給電するための電源系統については、PCIスロット経由と専用電源端子経由のいずれかを選択できるように基板上にジャンパピンを用意してここで切り替える設計としている。

 その設計は教科書通りと言って良い綺麗なもので、挙動も総じて素直なものである。

 もっとも、標準でIEEE1394aコントローラを搭載するxw9300/CTで試した範囲では、明らかにリソースの競合が発生してIEEE1394bコントローラがそもそもPnPで検出されていない。

 つまり、オンボードデバイスが複雑な構成のAT互換機で使う場合には、拡張スロットに挿してそのまま問題なく認識・ドライバ組み込み・使用、という訳には行かず、リソースが競合するオンボードデバイスを無効化するなど、トラブルシューティングが少々厄介なことになる機種もあるようだ。

 IEEE1394bとUSB 2.0の複合カード、それも64bitバス対応の機種は希少であるため、これは双方のインターフェイスを共に搭載しない、一時期のサーバ/WS系マシンで両インターフェイスを新規搭載したい場合(果たしてその必要がどの程度あるのかは正直疑問だが)や、それ以降の機種で既存インターフェイスに追加する形でこれらのインターフェイスを搭載したい場合に非常に有益なカードである。


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