FMT-KB107 JISキーボード / 富士通


 FMT-KB105の後継として登場した、FM TOWNS用キーボードとしては第2世代のテンキー付きJIS配列メカニカルキーボード。

 FMT-KB105からの変更点はALTキーの追加で、これはWindowsで必要とされた(故にTOWNS用Windows 95ではALTキーの無いFMT-KB105は使用出来ない)為に追加されたものである。

 これは元々FMR60KB111というFM-Rシリーズ用の製品であり、それをTOWNS用としてケースや文字・数字キーの成形色を変更(元々のFMR60KB111では白だったが、こちらではTOWNS本体と同じ濃いグレーに変更。それ以外の変更は一切無く、当然FM-Rに接続する事も可能である)したものである為、右サイド上部にFM-Rシリーズ用マウスを接続する為の8ピンミニDINコネクタが設けられており、Windows 3.1やWindows 95ではTOWNSでもFM-Rシリーズ用マウスを接続可能(TOWNS OSでも制限はあるが一応可能)となっている。

 キーコントロ−ラとしてはIntel純正の80C49AHが搭載されており、キースイッチには富士通オリジナルのメカニカルスイッチ(ノンクリック)が搭載されている。

 このキースイッチはコイルバネを内蔵するオーソドックスな機構のもので、意外と複雑なパーツ構成となっており、キー押し下げの終端部でのタッチがかなり個性的(ラバードームに似た、微妙な反発/抵抗がある)という特徴を備えている。

 また、ケース組み立てにはネジを使わずケース上面部と一体成形のプラ製の爪で下面部と結合する構造となっている。

 なお、キートップはかなり厚手の2層多色成形による文字表記で、メカニカルスイッチ搭載と併せてこの頃のPC用キーボードらしい、非常に良心的且つ高級な設計の製品であった事が判る。

 このキーボードのキー配列はJIS配列という事になっているが、通常のキーの左に1列、上から順に“SYS REQ”、“EXT1”、“EXT2”、“SCROLL LOCK”、“HOME”、“END”というキーが並べられ、カーソルキーの下に“実行”キーが設けられ、更にテンキーの上にPF13〜PF20キーが置かれるなど、家庭用の通常のPCのキーボードと言うよりはむしろ大型コンピューターの端末用鍵盤と呼んだ方がしっくり来る様な拡張配列で、IBM 5576-001と比較すると同じ設計思想でデザインされた配列である事が分かる。

 これは本来のターゲットマシンであるFM-Rシリーズのニーズがどの辺りにあったかを雄弁に物語る仕様で、家庭用としてPC-9800シリーズに対抗する筈のTOWNSでこれを何も考えずそのまま提供した富士通の真意は、果たしていずこにあったのであろうか?

 筆者の感想としては、家庭用のTOWNS向けには左端の1列を省略したモデルがあっても良かったのではないかと思う。


 なお、TOWNS用キーボードはOASYS配列のFMT-KB20x系とJIS配列のFMT-KB10x系に大別されるが、20x系には通常配列版の他にコンソーシアム配列版とF6680エミュレータ対応配列版が、10x系には通常配列版とF6680エミュレータ対応配列版が、それぞれ存在し、更にF6680エミュレータ対応配列版以外の各配列についてはテンキーの有無やALTキーの有無によるサブタイプが存在する(加えて一部には白TOWNSで本体添付された廉価版もある)という、悪夢の様に複雑怪奇なラインナップ構成となっており、必要なキーの有無から利用可能OSが限られるケースが存在する。

 よって、Windows 95(TOWNS)まで一通りフォローしようと思うとFMT-KB107(1071)かFMT-KB207(2071)を選択する必要があるので、これからTOWNS用キーボードを新規に求められる方には特に注意していただきたい。


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