編 集 後 記  「通信」の5号はいかかでしたでしょうか,発行がずるずると延びて,4号から1 年近く経ってしまいました。あとにOh!石氏も述べているように,この間パソコン ユーザを取り巻く環境は大きく変化しているように見えます.  しかし現状のマシンは(異論はあるでしょうが),少なくともプログラミングレベ ルでの使われ方において,GUI等ソフトウェアの負担増に対応するために,CPU の高速化とメモリの大容量化が進行したものの,80年代と比べてそれほど進化して いないと思いませんか(もっともMPUに関しては,キャッシュやパイプライン,あ るいは仮想記憶といった技術を取り込んできているが.それとてメインフレームの世 界では目新しいものではない).一方で,ソフトウェアは年々肥大化,複雑化してプ ログラマの負担は増大し,ついにはアマチュアの手に余るようになっていくような気 がします.  そのうち「ひまプロ」は死語になってしまうのでしょうか?  高速なCPUでメモリをふんだんに使い,複雑なソフトウェア技術を駆使してでき るようになった事は何か.マルチメディアと称して,ウインドウで動画を表示するだ けでは,メーカの主張するマシンの「進化」とは何なのかと,考えさせられます. (ソンナコトナラX1デモデキワイ!) 祝氏の著書で示されたプログラムのように,小規模なコードで高度な使い方ができ るのが8bitマシンのメリットであります.ユーザがハードウェアに対するインタ フェースをすみずみまで理解でき,64KBytesという限られたメモリ空間でそれら を駆使するコードを書く醍醐味が,8bit機の終えんとともに忘れられて行くのは とても残念なことだと思います.  SONYのAV機器にMSXの機能が組み込まれているというような話も耳にしま すし,8bitの環境もまんざら捨てたものではないはずです.「ひまプロ」環境を ふたたびアマチュア・ホビイストの手に取り戻す日を夢見ながら,いまだに私はZ8 0のコードを書き続けているのであります. さて,X1用RAMボードの回路図は,どうやって入力したと思いますか?当った 人には,Vol.3のときに行ったインテックス大阪の絵はがきを差し上げます. (森)  今、帰りの新幹線です。ちょっとぜいたくして、グリーン車に乗っています。2階か らの景色は、思った以上にスピード感があります。  さて、世はすっかりMS−DOS一色になってしまいました。それも、486/66 MHz、メモリ8MB、HDD600MBは当り前という有様です。そりゃあ、メモリ が多かったりCPUが速いに越したことはないのですが、これでは際限がありません ね。  翻って、8ビットは?というと、MSXは消滅寸前、他のパソコンはすでに姿なしと いう現実。これではS−OS U.C.の活動もどうなるかわからない!と憂えている今 日この頃です。  そこで、私は「Nucleous計画」というものを構想中です。これを森さんに話 したらありがちな名前だと笑われましたが・・・。詳しくは次号で(あるいはS−OS ネット上にて)ということにして、とりあえず概要だけを説明しましょう。  すでに発売されたパソコンは別として、今後8ビットCPUはどのように進んでいく でしょうか?完全に16ビット以上のCPUに置き代わってしまうのでしょうか?そう いう問いには、明確にNoと答えられます。8ビットCPU自体は、今まで以上に発展 する可能性を秘めています。  なぜなら、8ビットCPU、とりわけZ80はいわゆる組み込み用途、制御用のコン トローラとしてまだまだ需要があるからです。トランジスタ技術誌の広告のページを開 いてみてください。Z80ワンチップマイコンを使用したCPUボードが多数掲載され ています。特に、数年前東芝が発表したTMPZ84シリーズは、例えば2SIOとか 2PIO+1SIO+CTCとかの様々なバリエーションを用意して、用途による使い 分けができるようになっています。特にTMPZ84シリーズはZ80の本家ザイログ がセカンドソーサになるなど、ますます今後の組み込みCPUのメジャーになっていく と思われます(もっとも、ザイログは節操がないというか、日立のHD64180のセ カンドソーサにもなっている)。  組み込み用途には8ビットCPUだけでなく、16ビットも使われています。NEC のV40やV50、V25なんかがそれです。8086互換のCPUを使うのは、MS DOSをOSとしてアプリケーションを動かすためで、つまりは開発環境をMSDOS に設定するのが目的です。市販のCコンパイラなどを使用すれば開発が容易になりま す。  8ビットの方には、過去標準となったCP/Mがありますが、やはり過去のものなの で、開発に使用されても完成したプログラムのプラットホームとすることはできませ ん。つまりは、スタンドアロン動作専門なのです。でも、MSDOSを開発ベースとす ることが充分意味のあることであり、しかもそういうニーズがあるなら、8ビットにも そういう環境があるほうがいいに決ってます。  そこで、S−OSの登場です。S−OS最終バージョン”NUKE”を文字どおり核 とし、あらゆるスモールシステムの開発をスムーズに行なえる環境を構築してOSの一 大勢力とするのです。  整備しなければいけない項目は多々あるでしょう。例えば、各システムに装備できる であろう周辺機能を統一ファンクションで使用できるようにするとか、OSそのものも ROM化できないといけないし、アプリケーションは今まで以上に充実する必要がある でしょうね。  こういう話を持ち出したのは、次期S−OSシステムを考えるにあたって何か目標が 必要なのではないかと思ったからです。「どんなS−OSが欲しいか」という議論も大 事ですが、どういうS−OSにするかをあらかじめ目標を定めておけば、何が必要か、 何を変えていかなければならないかが見えてくるのではないかと思うのです。  もうひとつ、どんなに控え目に言っても8ビットパソコンは消滅の一途をたどるで しょう。これは避けられないと思います。しかし、組み込み8ビットに活路を求めるこ とで、98やATコンパチにS−OSを移植することにも意味が出てくるし、多くの旧 8ビットユーザー以外からも支持が得られるのではないかと思うのです。  どんなもんでしょう。御意見お待ちしております。                                  (Oh!石)    VOL.4から一年たち、私もすっかり社会人となってしまいました。頭の中から 次々とゲームのアイデアがでてくるのに、時間がないのでゆっくりつくっていられま せん。というのは半分嘘で、睡眠時間をけずり、会社で堂々と居眠りをし、ほんのち ょびっとの時間をつくって・・・・SFCで遊んでます(わ〜〜!石なげないで!)。 現在またMAGICでゲームをつくってます。今度もアクションです。あ、せっかく 編集後記書かせてもらっているのに、もう書く事が無い。で、私のソフトは基本的に フリーウェアとします。そういう人がいるとはまず思えませんが、他のネットへの転 載はかまいません。転載の条件は「ドキュメントをつけてね。あ、それと感想もきか せてね」。 (黒木) (EOF)