Xsimm10
(X68000シリーズ用メモリ増設ボード)

 X68000シリーズは、初代機発売の頃なんか「標準でもこれだけのメモリがあるならなんだってできるじゃないか」というイメージがありましたけれど、SX-Windowが登場したあたりなどはRAM 4MBは当たり前、いくらでもあればあるほどうれしいという状況に変わりました。ある意味パソコンの発達というか用途拡大の結果として妥当と言えなくもないわけですが。

 そうなるとですね、本体に内蔵する増設1MBはいいのですが、さらなる追加の10MBをどうやって増設するかが悩ましいのですよね。純正で発売されたメモリボードは、2MBと4MBの二種類があったのですけど、10MBにするには4MB+4MB+2MBと三枚組み合わせなければならなかったわけで、拡張スロットが二つの「PRO以外」は増設I/Oボックスを買うか(純正は高かった…)、限界まで増設したらあとはあきらめる…と考えねばなりませんでした。メモリを挿したらその分ほかのボードが挿せなくなるわけですから、考えどころですよね。レイトレーシングやっている人はメモリがたくさん欲しいだろうし、数値演算プロセッサボードも挿したいだろうし…。

 そんなわけなのでメモリとコプロの合体ボードなど発売されたりしましたが、増設メモリで最も効果的と言えそうなのは一枚で10MBを増設できるこのXsimm10を置いて他にないのではないかと思います。これは30pin SIMMモジュールソケットを4つ搭載していて、必要に応じて容量を変更することができました。ですが、当時はすでにMac用のSIMMが72pin仕様に移行している最中で、30pinのものがかなり安くなってきていたことから、最初から最大容量で使っていた人も多いんじゃないかと思います。かく言う私も、このボードを買ったその日に今は亡きT-ZONE東ラジ店で1MBと4MBを2枚ずつ買いました。
 ソケットからSIMMを取り外した、言わば買ったときそのままの姿。
 SIMMソケットは二連のものが使われていますね。取付時の高さを抑えるため、差し込み角度の深い(いや、浅いのか?)タイプが採用されています。マザーボードでも高級機種でしかお目にかかれず、パーツショップでは手に入らなかったものなので、ちょっと憧れだったりしたのですよね。
 また、当時はまだFPGAの時代ではなかったので、PALかその類のものが使われていますね。ボード上のICのうち白いラベルの貼られたものがそれです。SIMMの実装の都合でメモリを割り当てるアドレスの調整が必要ですから、それで増大した回路を収容しているのでしょう。

 PRO用に最初から10MB実装状態で使っていましたが、Neptune-Evilution導入でお蔵入りとなりました。良い製品でした。

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