PC-1245

 その昔(といっても高校生の時分)学習塾に通っていた頃、そこの講師としてやってきたある大学生が卒業するというのでもらいました(記念だったら逆だろ、とツッコまないように)。彼曰くすでにPC-1211だったかを持っていたのにゼミかなんかで必要だからと買わされ、別にPC-1211で十分だからとこちらを手放すことにしたとか。当時PC-1250/1251を所有していろいろ有効に使ってくれそうだと思ったのでしょう。
 PC-1245はPC-1250をコストダウンしたモデルで、特に初心者向けとして発売されました。といってもほとんど機能的に落ちるところはなくて、表示が16桁であること、RESERVEモードがなくて固定の命令の文字列が元のリザーブキーに割り当てられていることが大きな違いです。それ以外はプログラムも周辺機器も共通で使えるし特に差はありませんでした。
 ただPC-1245からは色調が変わり、特に液晶周辺の色がそれまでのベージュから濃い茶色になりました。これはPC-1255やPC-1401、PC-1501にも引き継がれ、PC-1350でグレーが採用されるまで続いたように思います。

 もともと関数電卓から発展してきたポケコンですが、安くてまともなBASICが走るとあれば「安いパソコン」「BASICの勉強用」として捉える人が現れても不思議ではありません。なにせ、今でもそうですが「パソコンを使ってみたいけど挫折して置物になってしまうかもしれない、そんなものに高い金は出せない」と考える初心者は多いものです。昔BASICを指南してあげた高校の先生もそんなことを言ってまずは中古のハンドヘルド機を買いましたし(その後いろいろ使うようになったみたいです)、先日かかった歯科医も同じようなことを言ってました。昔の「パソコンが使える」はBASICでプログラムが作れることを意味しましたから、その勉強用にはポケコンはもってこいなわけです。
 それをいち早く察知し低価格モデルを出したのがカシオで、FX-702Pを簡略化したようなPB-100を14800円で売り出しました。それから遅れること数ヶ月、シャープはPC-1245を17800円で売り出したのです。メモリ容量や機能などはPC-1245のほうがずっと上だったからか、3000円の価格差にもかかわらずいい勝負をしていたようです。なおPC-1245にはマニュアルのほかに独習テキストも付属していました。
 その後も低価格機路線はカシオ・シャープ共に維持され、PB-80やPC-1246などのポケコンが登場しています。
 
 確かPC-1255までは手帳型ケースだったと思うのですが、PC-1245からはハードカバーがつくようになりました。これは本体周囲の装飾/滑り止め/周辺機器固定用の溝を使ってスライドさせて固定するもので、けっこうスマートなので自分のPC-1250も改造してこのカバーが使えるようにしてしまったこともありました。
 こういうカバーは本体裏面を保護してくれないのでそっちが汚れて困っちゃうのですが、世間一般では概ね好評だったのか、PC-G850Vに至っても同様のカバーが採用されていますね。
 なぜPC-1250の半分(12桁)ではなく16桁なのか?という疑問がPC-1245を見た時ありました。それはまもなく雑誌かなんかで解き明かされたのですが、その証拠写真がこれ。つまり、

仮数部の符号(1)
仮数部(10)
仮数部の小数点(1)
指数部を表す記号E(1)
指数部(2)
指数部の符号(1)

を足し合わせると16になるから、です。当時のポケコンの基本性能として10桁の精度が確保されていましたから、その表示にはどうしても16桁が必要になるわけですね。実用上これで十分・表示部を小さくできるなどの理由からかPC-1401でも16桁表示になり、以降PC-1460で24桁表示が実現するまでいろいろな機種が16桁仕様で設計されていました。

 ところで、PC-1245は表示桁が少ないにもかかわらず、この表示のおかげでなんとなくPC-1250に戻りたくない魅力があります。それが、写真でもわかると思いますが「少し字が小さい」。正確にはちょっと横を圧縮されたような大きさと字の形になっています。確かに使い始めは狭さのために圧迫されているような感じがするのですが、慣れると今度はPC-1250なんかの画面が間延びしているように思えてきます。この16桁表示の「しまった」感じが、その後のシリーズで多数採用される一因にもなったのでしょうかね。

 さすがに3台目の同種のポケコンとなると使い道もしれてます(PC-1250はメモリ増設をしていたので、これだけメモリが少ない)が、いろいろポケコンの技術情報が明らかになるにつれて、いろいろいじりたくなってきました。はじめはPC-1250とキーを全部交換してしまうとかだったのがついにRAM増設の改造に踏み切ってしまいました。メモリマップの構造上18KBまでのRAMを増設できそうだったからなんですが、当時の私はハンダ付け技術が未熟で、結局動かなくしてしまいました。ただその原因がCPUチップの足のハンダブリッジだったことがはっきりしていたので、最近ようやくそれを取り除いてまた動かせるようにしました。久しぶりの「小さい字」、いいもんですねぇ。

MC-2200

 ポケコン時代のOEM供給の例はそれほど多くありません。それ故どれもが幻や都市伝説のように扱われるのですが、その中でも特にレア扱いされているのがこのMC-2200です。OEM供給先はセイコー。

 オリジナルとは一線を画す、黒いカラーリング。そしてところどころに配される赤が、アクセントとして効いています。キーの色も大胆に変更しています。
 最も大きな変更点が、液晶の位置。真ん中に寄せるなんて大変更のように思えますが、実際には24ケタのと同じ大きさの液晶モジュールなので、基板はほとんど変更されていない模様です。これを見ると、オリジナルがやっつけくさく見えてきてしまいますね。
 プリンター&マイクロカセットレコーダのMP-220。CE-125のOEMですね。というか、カラーリング的にはCE-125Sそのものですな。

 ところで、今回入手していませんがCE-124のOEMもMC-22としてオプション提供されているのですが、これらの型番って、ゼロが一つずつ減ったり増えたりしてるんですよね…何に対するオプションかはわかりやすいですが、その分シリーズ化はあまり考えていなかったんでしょうか…。

 そのせいかどうかはともかく、シリーズ化はもとより他の機種のOEMもされることなく、この一台だけで終わってしまいました。それだけに、このポケコンがどのような意図で発売に至ったかよくわからないんですよね。売れたらシリーズ化? さして宣伝もしてなかったのに? それとも特定用途向けにソフトとセットで納入したとか? それならOEMにしないほうが安くあがると思うのですけどね…。

 実際、「腕コン」として腕時計形のコンピュータ(実態はデータビューア?)を既に発売していましたから、自力でも作れそうなものなんですが…真相はいかに。

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