CZ-800F
(フロッピーディスクドライブ)

 二段重なっているユニットの、下段の方です。
 X1シリーズ用フロッピードライブ。初代X1(いわゆるマニアタイプ)デビューから程なくして発売されたものです。沖電気製のドライブを使い、薄く作られていますね。
 上段はデジタルテロッパ・CZ-8DTですが、全く機能の異なるこれらのユニットが全く同じ寸法で設計されているところに、デザインを重視するコンセプトをうかがわせます。

 フタを開けて、フロッピーを軽く差し込んでみたところです。フタ全体がディスクのチャッキングとか次に開けた時のディスク送り出しバネのセットとか、機械的に重要な部品となっています。フタ自体は押して閉じ、また押して開くという、ガラスキャビネットの扉のような操作で開閉します。

 ドライブは普通のハーフハイトの3/5の厚さで、やはりかなり薄いです。もしかしたらこのドライブの存在を前提として、CZ-8DTも含めて周辺機器のサイズが決定されたのかもしれませんね。
 デザインとしては表面がすっきりしてカッコイイのですが、閉じているとディスクが入っているのかどうかわからないとか、風通しが悪いとか、いや本当の理由はよくわかりませんがあまり採用されなかったみたいですね。このCZ-800Fにしても、ドライブに熱がこもりやすいという欠点から冷却ファン付きのCZ-801Fにモデルチェンジされています(カタログで見ると背面にファンの開口部が見えるのですが、実際には底面に張り付くように設置されており、本体もろとも冷却する意図があったのではないかと推測されています)。
 そうそう、もうひとつ特徴がありました。このドライブ、アクセス時にヘッドロードします。TEACのドライブは金具の有無でディスク挿入時かヘッドロード信号受信時かどちらでロード(ヘッドがディスクと接触する。ディスクアクセスランプが点灯する時にガチャとかカチッとかパチンとか音のするものはその時にヘッドロードしている)するかを選べるようなのですが、これはどうだったんでしょうね。X1turboで使っててヘッドロード音がするのはちょっと違和感がありますよ。

 前オーナーは相当の喫煙者と見えて、ドライブ内外にヤニがこびりつき、入手したその日に掃除しまくりました。幸いにしてディスクのアクセスには支障なかったのですが、イジェクトが渋く、ほとんど排出されません。このドライブの構造上前面の開口部が小さいことから指でつまんで取り出すのも一苦労で、思い切ってメンテナンスしてみることにしました。

 二つあるICの上の黒いプラスチックのところに、L字型の細い針金があるのが見えるかと思います。これがディスクを押し出す金具で、写真では見えませんがバネの収縮により右にスライドするようになっています(写真はディスク未挿入の状態)。ディスクが挿入されると左にスライドし、スロープを越えることで土手に引っかかってロックされます。スロープの左にはもう紛れて見えませんが三角の針金があり、これはドライブのフタを開くと上にせり上がるので、金具のロックが外れて右にスライドし、ディスクが排出されるという仕組みです。
 そこでこの金具と金具がスライドするプラスチック部分、三角の針金などにサンハヤトのアルファルーブを塗ったところ、スムーズにイジェクトされるようになりました。ついでにドライブのフタも閉じる時に引っかかりを感じていたので関連する金具にアルファルーブを塗っておいたところ、こちらも引っかかりなくスムーズに開け閉めできるようになりました。馴染むのに少し時間がかかるので、作業中多少渋さが残った感じがしても塗りすぎないように。

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