CE-510K
CE-511K
(PC-5000用キーパッド)

 PC-5000は今時よくあるノートパソコンと同様、テンキーを省略したマシンです。テンキーモードという発想が生まれる前のことですし、それ故数値はフルキー部分から入力する必要がありました。
 そこで用意されたのが、テンキーパッド・CE-510Kです。下1/3ぐらいのところに電卓のようなテンキーがありますが、注目すべきは上2/3を占めるファンクションキー群でしょう。ラベルにそれぞれ機能が書けて、処理をワンタッチで呼び出せるのです。おそらく、TOOLPLANでの利用を想定していたのだと思います。
 日本語ワードプロセッサが純正オプションで提供されるならば、日本語の入力も考えたいところ。キーボードからのカナ文字の入力はカナ打ち以外選択肢がなかった時代、ペンを使って文字や機能の書かれた文字盤を押すタイプの、タブレットのような入力装置が用意されたのです。名付けて「50音タブレット」。上の枠では機能選択が、下の枠では文字入力が行えます。右上にペンを収納できる溝がありますが、残念ながらそのペンは欠品になっています。
 まずは下の文字入力部から。タブレットの表面はゴムシートになっていて、そのシートに入力可能な文字や機能が書かれています。さすがに古いものなので、亀裂が走ってしまってます。ゴムシートの下は平らな金属板で、ペンで圧力を与えることで座標入力されるのだろうと思われます。本体へは、座標情報が渡るのか、定義されているキーコードが渡るのか、正確なところはわかりません(商品名がタブレットなので、座標情報じゃないかと思われますが…)。

 技術的には、PC-1500の周辺機器であるソフトウェアボード(CE-153)と同種のものだろうと思います。あちらはプログラムによって入れ替えるシートが薄く透明なフィルムで、指でパネルを押す前提になっていたのに対し、こちらはペンで押すスタイル故ペン先が滑らないようにゴムでできているのでしょう。
 この50音タブレットはシャープの専用ワープロ「書院」にも採用されていたものがあったと記憶しています。これが入力しやすかったかどうかは…定かではありません。カナ配列に答えが出るまでの間いろいろな入力方式が考案され、そして消えていきましたが、ペン選択式ともいうべき50音タブレットは手書き入力の祖先じゃないかと思っているのですが(中間に手書きタブレットというものが挟まりますがね)…。
 こちらは上の機能入力部。記号も入力できますね。まだポインティングデバイスが未発達な時代の製品ですから仕方ないところもあるのですが、こういう機能入力を固定してしまうと機能アップが難しくなってしまう欠点がありますね。たとえばこの時代にサポートされていない「フォント」とか「文字飾り」とか、今あるワープロと比較すると足りないものがいろいろとあるわけで、それがパソコンで動くワープロゆえソフト交換でいくらでもバージョンアップ可能なだけに、惜しいと思うわけですよ。それとも、機能アップの暁には交換用シートを添付するつもりだったのだろうか…。

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