あるソフトが、異なる2つのタイトルを持っているというケースがあります。たとえば、以下のような例があります。
SPACE INVADERS/SPACE SHOOTER(コムパック)
これらは中身は同じものですが、商標や版権の問題から変更を余儀なくされたものです。
売上倍増大作戦/コンピュータウォーズ(以上、チャンピオンソフト)
これらは、一度発売された作品が、タイトルを変えて再発売されたものです。タイトル画面も書き換えられています。変更の理由は不明ですが、すべてカタカナ語になっているのは、そのほうが売れそうだからでしょうか?
クリティカル・マス/パニック大作戦など(以上、スタークラフト)
これらは、廉価版として再発売時にあえて変更したものです。スタークラフトの廉価版は全部で20作が発売されましたが、すべてタイトルが変えられたわけではなく、変更されたのは6作のみです。なぜこの6作だけが対象となったのかはわかりませんが、ちょっと安っぽくなってしまった感じで、元のままのほうがよかった気もしますが・・・。
パッケージのタイトルと画面のタイトルが異なるというケースは、結構目立ちます。
「ラリーX」(電波新聞社)は、パッケージのタイトルは「ラリーX」ですが、中身は「ニューラリーX」の移植となっており、タイトル画面も「NEW RALLY-X」です。
「SPACE FIGHTER」(コムパック)は、雑誌掲載時のタイトルは「ファイター」でしたが、市販時に「SPACE」が付けられたようです。
ほかにも、
星占いによる相性診断/星占い(ベーシックシステム)
囲碁道場/囲碁トレーナー(チャンピオンソフト)
グラフィック花札 こいこい/花札げーむ こいこい(コムパック)
ウルトラダイス/ダイスゲーム(スターパック)
などなど、細かい違いのものも含めればまだ多数あります。ほとんどが1983年あたりまでのもので、おおらかな時代だったというのを象徴しています。
上記のものはタイトルが合致していないといっても、それぞれ共通の単語が見出せ、完全に異なっているわけではありません。しかし、パッケージに書かれたタイトルと画面上のタイトルが全く違うという奇怪なソフトもあります。CSKソフトウェアプロダクツの
首相の犯罪/日本の首領
脱出 妖気の樹海/涅槃の森
がそれです。パッケージには双方のタイトルが書かれていて、一応前者が正式なタイトルという扱いのようなのですが、タイトル画面にはなぜか後者しか出てきません。発売元と開発元でなにか行き違いがあったのでしょうか? この2作はともに、非常に怪しい内容のソフトだというのも興味をそそります。

いったん広告で予告されたタイトルが、発売時には変更されていたというケースもあります。
ニュートン→ニュートロン(エニックス)
倉庫番 PART II→倉庫番2(シンキングラビット)
トリガーハピー→ティップ・トップ→ファイアボール(ハミングバードソフト)
などです。発表時はまだ開発中であり、タイトルも仮題だったということで、これは納得できる変更でしょう。
「ブラックオニキス」は有名なタイトルですが、実は当初のタイトルは「ブラックオニクス」でした。BPSの広告にもそう記載されています。しかし発売当初の雑誌の紹介記事(たとえば『ログイン』1984年3月号や『ポプコム』1984年3月号)では「ブラックオニキス」と表記されています。これは、日本では「X」を「エッキス」と発音する古い習慣があり(宮永好道氏が有名?)、「onyx」も「オニキス」と読まれてしまったためだと思われます。

BPSの意向にかかわらず、ほとんどの雑誌では「オニキス」で通していたようですが、『ログイン』ではその後表記は「ブラックオニクス」に統一されたらしく、「SOFTLOG」のTOP20などでも、ずっと「ブラックオニクス」のままです。もちろんBPSの広告も、「オニクス」で不変でした。
ところが、1985年7月号から『ログイン』の表記が突如、「ブラックオニキス」に変わりました。当のBPSはというと、それ以前の1985年3月に発売されたFM-7版のマニュアルの表記がすでに「ブラックオニキス」となっています。そして広告を見ると、1985年7月号の広告で「オニクス」と「オニキス」が混在使用されたのを経て、同年11月号から「オニキス」に変わっています。
これついてBPSから特にアナウンスはなかったようですが、以上の経過から考えられるのは、「オニキス」がほとんどの雑誌で使われていてすでに浸透していたため、BPSが「オニキス」に統一を決定。『ログイン』にもその旨を打診し、結果「オニキス」に変えられた、ということでしょうか。